教授挨拶
当グループを主宰する穂積は、1992年に当時の東海大学医学部免疫学教室(垣生園子教授)に赴任以来、一貫して「胸腺におけるT細胞分化」の分子機構解析に従事してきました。当初から、T細胞が胸腺でのみ分化する理由について、垣生先生のご指導を受けながら考えを進め、T細胞とは何か?という視点から、研究をはじめていきました。
その過程で、T細胞の分化不全が病因の本態であるX連鎖性重症複合型免疫不全症(X-SCID)の発症機構について、東北大学・菅村研との共同研究にて、明らかにすることができました(Hozumi K et al., Int Immunol 6:1451, 1994)。
また、英国留学(1998-2001;Imperial Cancer Research Fund、現The Francis Crick Institute)を機に、胸腺環境要因としてのNotchリガンドの役割解明を目指し、胸腺上皮細胞に特徴的に発現するNotchリガンドの1つ:Delta-like 4(Dll4)が、胸腺でのT細胞分化決定に必須であることを示しました(Hozumi K et al., J Exp Med 205:2507, 2008)。
これは、T細胞が胸腺においてのみ分化する分子機構をはじめて明らかにしたもので、長らく不明であった「胸腺分化環境」を分子レベルで理解可能にした画期的な成果となりました。
こうした研究を通して、T細胞の性状を分子的に理解することから免疫応答全体の理解へ発展させ、免疫応答に関連した数多くの難病に対する新たな治療のヒントになるような概念を見出したいと考えるようになりました。
当グループは穂積を中心としたとても小さな研究グループですので、おのずとやれることは限られてくると思っています。しかし、そうした制約の中でも、独自の視点から研究を続け、発見を積み重ねることで、信頼される成果を継続して発信していきたいと考えています。
当グループでは、新たに研究に参画してくれる大学院生を募集しております。興味のある方は、穂積(hozumi @is.icc.u-tokai.ac.jp)までメールにてコンタクトいただき、気軽に研究室にお出で下さい。